本ページでは、DTF印刷によって生産する商品のデザイン作成方法とご注意点についてご案内しております。
DTF印刷によって生産できる対象商品は以下のとおりです。「対象商品」に含まれる商品のデザインデータ作成の際には本ページをご確認いただきデータ作成をお願いいたします。また、デザインデータ作成時の注意点も合わせてご確認をお願いいたします。
印刷方法 | 対象商品 |
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DTF印刷 |
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初めにDTFという言葉の意味ですが「Direct To Film」(※1)の頭文字の略語で、言葉の意味としていは『印刷の際にフィルムに印刷する』という印刷システムです。DTFプリンタ―はインク自体はDTF印刷専用のインクを使用しますが、プリンターの仕組み自体は家庭用のプリンタ―とまったく同じです。ただし家庭用にプリンタ―は紙に印刷しますが、DTF印刷では前述のとおりDTF印刷専用の特殊なフィルムに印刷します。従来のプリントシステムと違うのが、この特殊フィルムに印刷されたインク層にパウダー糊(ベーキングパウダー)をふりかけ、ふりかけたパウダー糊をオーブンで溶かし転写フィルムを作成します。出来上がった転写フィルムと商品(Tシャツやトートバッグなど)を重ね合わせて高圧熱プレス機を使用し、熱でパウダー糊を溶かしつつ圧力で圧着させ商品に転写させます。
そしてDTF印刷の特徴として、印刷(転写)できる素材が従来の方法より豊富なことです。綿だけでなく、ポリエステル、ナイロン、不織布、木材、紙、また低温でも溶ける「低温タイプのパウダー糊」を使用すれば革やPU合皮などへの印刷(転写)も可能です。コスト面でも優位性があり印刷の際に「版」なども必要ないので、1個から安価に印刷(転写)できるのも特徴です。
※1 世界的には「Direct To Fabric」の略語としてDTFと明記しておりますが、日本国内では「Direct To Film」の方が一般的です。
DTF印刷の工程で特徴的なのが、カラーインク層とホワイトインク層の2層になる点と、パウダー糊(ベーキングパウダー)を使用する点です。
データデータ作成の際には、特徴でもあるホワイトインク用のデータも合わせて作成いただく必要がございます。
DTF印刷で必要なデータは以下のとおりです。
『白版』とは、ホワイトインクのみを印刷するための専用の描画範囲(白版レイヤー)のことです。DTF印刷では必ずカラーインク層の下層にホワイトインク層も一緒に印刷する必要性があり、このホワイトインクを印刷するための範囲を白版データとして作成する必要性があります。また白版データを作成する際にはK100%のベタ塗りで作成する必要性もあります。グラデーションや透過処理は利用出来ませんのでご注意ください。
なお、デザインで白色を表現した場合には、白版データとして塗りつぶすK100%のデータ(描画データ)を活用して表現(印刷)します。
白版データを作成するために「デザインレイヤー」を複製します。
「見当ズレ」とは、印刷の際にCMYK+W(ホワイトインク)の各色どうしの印刷ズレを見当ズレと言います。
CMYKのカラーインクの見当ズレは殆ど発生しませんが、カラーインクとホワイトインクの見当ズレは発生しやすくなります。つまりカラーインク層からホワイトインクがはみ出して見えてしまう状態のことです。
見当ズレの防止処理の方法として、本ページの『DTF印刷用デザインデータ作成方法』>「白版レイヤーの作成方法」の項目でご案内しておりますとおり「細らせ処理」を必ず行ってください。細らせ処理がなかった場合は、白版がはみ出して印刷されてしまう可能性がございますのでご注意ください。
見当ズレの「細らせ処理」を行う関係上、文字サイズ、線幅・抜き幅の数値が小さい(数値が低すぎる)と「細らせ処理」により白版データが作成されない場合があります。または、白版データの範囲が少なすぎてもパウダー糊(ベーキングパウダー)が吸着しない、或いはパウダー糊の吸着量が少なすぎると洗濯をした際に転写した文字や線のインク層が剥がれてしまう場合があります。
この問題を防ぐには、デザインデータ上で文字サイズは10ptサイズ(3.52mm)以上を使用、線や抜き幅の場合は線幅を0.75ptサイズ(0.265mm)以上をご使用、ドットは0.5mmサイズ以上を使用してください。
DTF印刷は印刷工程でパウダー糊を使用することで印刷できる素材が多いのが特徴ではありますが、逆にパウダー糊を使用しないといけないのもデメリットになります。
パウダー糊はホワイトインクにしか吸着しない特性があるため、ホワイトインクの量が少ない、或いはホワイトインクが無い状態では生地などの素材に転写(糊付け)が出来ません。
DTF印刷ではホワイトインクを印刷する際にはK100%のベタ塗りでしか印刷することが出来ません。
つまり、ホワイトインクのみのグラデーションや、「80%、60%、40%」など透明処理を施した印刷は出来ません。また白版データにK80%やK60%で描画することも出来ません。
ホワイトインクはベタ塗りでしか印刷できませんが、下記画像の様にグラデーション(カラーインク層)の下層にホワイトインクが重なっていればグラデーション自体はご利用可能です。
イメージ画像では茶色い生地に印刷したイメージで表していますが、白色生地のTシャツに印刷した場合でもホワイトインクは目立ってしまいますので予めご留意いただきご活用ください。
DTF印刷では印刷工程で使用するパウダー糊は一定以上のホワイトインクの濃さが必要です。強制的にホワイトインクのみで印刷した場合、ホワイトインクの濃度が低いとパウダー糊が吸着しないためホワイトインクの量が少ない、或いはホワイトインクが無い状態では生地などの素材に転写(糊付け)が出来ません。つまりホワイトインクのみでグラデーション(ドロップシャドウや透明処理)を描画すると、印刷(転写)自体されないか、仮に印刷(転写)された場合であってもパウダー糊のりの量が少なく1回の洗濯でインク層が剥がれてしまいます。
DTF印刷では、どんな色を使用しても(色が薄くても)必ずホワイトインク層の印刷も必要です。
濃いグラデーションであればホワイトインクはまったく目立ちませんが、淡い色(薄い色)の場合はホワイトインクが目立ってしまいグラデーションに違和感が感じられる。
ドロップシャドウも白色(ホワイトインク)のグラデーション処理と同様にDTF印刷ではご利用いただけません。
繰り返しになりますが、DTF印刷はカラーインク層の下層に必ずホワイトインク層が必要なためドロップシャドウ部分の下層にもホワイインク層が必要なります。ホワイインク層のデータはK100%で描画いただく必要性があり、ドロップシャドウからはみ出ないようにホワイトインク用のK100%で綺麗に描画することは不可能なためご利用は難しいです。